天体観測に使えるカメラ三脚とは

一般的に天体観測に用いる機材は、重たく運びづらいというイメージが先行しがちです。特にその本気度が上がるにつれ重量が増し、持ち運びに苦労します。

なかでも天体望遠鏡専用の三脚は剛性や耐荷重性能が求められるため、しっかりとしたものが必要となります。これは搭載される望遠鏡、赤道儀・経緯台などの架台、バランスウエイトの重量に耐えうる性能が三脚に求められるからで、一般的に10kg~数10kgの耐荷重が必要とされています。

ここではこの高い剛性や耐荷重性能を有する天体望遠鏡の三脚を一般的なカメラ三脚に置き換えることで、機材の可搬性を向上することができないかというテーマについてお話していきます。

トップ写真:Sky Watcher AZ-GTe経緯台とAOKA TKPRO425三脚。このサイズだと持ち運びに便利。

 

ちゃんとした天文機材は「重い」「運びづらい」?

セレストロンNexStar4SE鏡筒を搭載したAZ-ZERO経緯台とAOKA TKPRO425三脚

ハイアマチュア以上が使う天文機材は重いものが多く、三脚だけでも5kg以上あるのが普通です。これに搭載する赤道儀や経緯台、望遠鏡の重量を加えると、それだけで20kgを超えてしまいます。
このような重い機材を高原などの観測地に持って行くためには車での移動が必須で、ここが天文ファンの増えないひとつのネックとなっています。

 
一方でビギナー向けの天体望遠鏡は軽くて華奢な作りのものが多く、星を見ようとしても架台がグラグラして導入すらできないという別な問題が生じます。

この重量と運びやすさのちょうど良いバランスを考えた時に、着目したのがカメラ三脚の流用です。特に昨今のカーボン三脚では相当に頑丈なものもあり、これを用いることでもっと手軽に天体観測ができるはずです。

 

天体観測にカメラ三脚を用いるメリットとは

天文機材はできるだけ軽くしたい……これは永遠の課題だと思います。かつてバリバリと天体観測を行っていたベテランユーザーがこの世界を離れる理由のひとつが、この重量問題。

「重い機材を車のラゲッジスペースに乗せられなくなった」「天文機材のせいで腰痛が酷くなった」「駐車場から観測地まで運ぶだけでも重すぎて無理」などの声が聞こえてきます。


この解消策のひとつに、天体望遠鏡の三脚をカメラ三脚に置き換えるというものがあります。例えば昨今のカーボン三脚ですが、なかには40kgもの積載量を誇るものもあり、これは大型天体望遠鏡の可能積載量に匹敵するものです。

またカーボンという軽量な素材のお陰で2kg前後と大変軽く頑丈なのも特徴。天体望遠鏡の三脚で比較的ポピュラーなビクセンSX-HAL130三脚の重量は5.5kgですから、三脚を置き換えるだけでも3kg以上の軽量化が図れることになります。これは大きなメリットではないでしょうか。

筆者所有のビクセンSX-HAL130三脚

 

天体観測に使えるカメラ三脚のスペックについて-その1

それでは、天体望遠鏡の三脚に求められるスペックについて考察していきたいと思います。

天体望遠鏡の場合、一般的には三脚から上の積載物である「架台(赤道儀や経緯台)」および「バランスウエイト」と、「望遠鏡本体」「ファインダー」「天頂プリズム」「アイピース」などの重量の合算が、その三脚の搭載限界よりも軽いかどうかだと思います。
また電子観望を行う場合は「天文用の撮像CMOSカメラ」や、写真撮影用の「デジタル一眼レフ」の重量も加えて考えなければなりません。

一例として比較的軽量なビクセンAP-SMマウント赤道儀ですと本体が3.9kgで、これにバランスウエイトの重量が1~2kg加わります。さらに天体望遠鏡+ファインダー+天頂プリズムなどの重量が4~6kg程度加わり、撮影することを考えるとデジタル一眼レフと接続用Tマウントなどでプラス1kg程度増えます。
これを合計すると10~13kg程度になり、この重量に耐える積載量が三脚には求められることになります。

 

天体観測に使えるカメラ三脚のスペックについて-その2

軽量な赤道儀を用いた場合でも、三脚から上の積載重量は10~13kgであると上で説明しましたが、もう少し軽量なシステムで組むことも可能です。それは赤道儀を経緯台に置き換えるというもので、バランスウエイト分の重量が軽くなります。

また最近では自動導入が可能なモータードライブが内蔵されている経緯台(後述いたします)もありますので、長時間撮影などで日周運動に合わせたドライブの必要性がない場合、このような経緯台で充分と言えます。

次に使い勝手について説明します。天体望遠鏡のセッティング時に最も気を使うのが水平出しです。赤道儀や自動導入経緯台の場合、地平線に対して水平に設置しないと極軸が狂い、目的の天体が導入しづらくなります。このため「水準器は付いているか」「調整のために簡単に伸縮できるか」も、天体観測を考えたうえでの大切な要素になります。

AOKA TKPRO425Cカーボン三脚のマウント部。水準器は標準装備

 

AOKA TKPRO425Cカーボン三脚は天体観測に使えるのか?

今回ご紹介するAOKA TKPRO425Cカーボン三脚は、2021年6月に日本で販売を開始したカメラ用システマティック三脚で、記事執筆のために貸与して頂いたものです。数あるカーボン三脚のなかでも最新式と呼べるもので、そのスペックは以下です。

AOKA TKPRO425スペック

材質:10層カーボンファイバー

パイプ径・段数:36~24.5mm・5段

収納高:460mm 全伸長:1380mm 最低高:110mm

耐荷重:28kg 本体重量:1.95kg

ご覧になって分かるように、材質は最新の10層ファイバーで堅牢性は抜群。5段伸長で収納時には460mmと大変コンパクトになります。耐荷重が28kgという横綱級の三脚なのに重量はわずか1.95kgと大変軽く、このサイズですと旅行用の小型カートにも収まるサイズです。また接続は天文機材に多い3/8インチネジであることから、天体観測での親和性は高いと言えます。

5段伸縮10層カーボンファイバー・耐荷重28kgのAOKA TKPRO425C三脚

 

AOKA TKPRO425C三脚と相性の良い天文機材について

AOKA TKPRO425C三脚との相性を考えますと、よりハンドリングしやすい経緯台がベストではないでしょうか。さっと組み立てて、ぱぱっと観望(撮影)。その後ささっと撤収できる強みが経緯台にはあります。ここでは実際にいくつかの経緯台をAOKA TKPRO425C三脚に装着し、その使い勝手などをご説明していきたいと思います。

 

今回は以下の経緯台を用意してみました。

【サイトロンジャパンAZ-ZERO経緯台】

スコープテックとサイトロンジャパンのコラボで実現した高剛性経緯台です。

 

【ケンコー NEW KDSⅡ経緯台】

天体望遠鏡でおなじみのケンコーが出す、フリーストップ型の経緯台です。

 

【Sky Watcher AZ-GTe経緯台】

WiFiモジュールを内蔵しており、専用アプリがインストールされているスマホなどを用いて天体が自動導入できる経緯台です。

 

以下ではこれらの経緯台とAOKA TKPRO425C三脚との相性についてみていきたいと思います。

 

AOKA TKPRO425C三脚と相性の良い経緯台3選

【サイトロンジャパンAZ-ZERO経緯台】

サイトロンジャパンとスコープテックがコラボして生まれたAZ-ZERO経緯台

高剛性でハンドリングしやすいと評判の経緯台が、サイトロンジャパンAZ-ZERO経緯台です。マウント重量は1.5kgと軽量で搭載可能重量は7kgと、15cm級の反射鏡筒でも搭載は可能です。またマウント部の向きがネジひとつで変更できることから、セレストロンNexStar鏡筒のように通常のアリガタとは向きが逆の鏡筒も搭載できます。

3/8インチのカメラネジでの接続ですのでAOKA TKPRO425C三脚との相性も抜群。三脚と経緯台を合わせた重量はわずか3.45kgで、かつ重めの鏡筒を搭載してもぐらつくようなことはありませんでした。

 

【ケンコーNEW KDSⅡ経緯台】

筆者所有のケンコーNEW KDSⅡ経緯台。カスタマイズされています。

ケンコー製の代表的なフリーストップ型経緯台です。バードウォッチングで用いられることが多いですが、軽い目の鏡筒での星見にも使われています。重量はわずか1.2kgでAOKA TKPRO425C三脚と合わせても3kg強と、今回の組み合わせのなかではもっとも軽いセットです。旅行鞄に軽い鏡筒とともに収納し、旅先で星を観望するような使い方に向いています。

接続は1/4インチネジですが、アダプターを介してAOKA TKPRO425C三脚に接続しています。また写真のものはメタルノブを装着した強化バージョンで、フリーストップの強度が格段に向上しています。

 

【Sky Watcher AZ-GTe経緯台】

筆者所有のSky Watcher AZ-GTe経緯台。上位機種のAZ-GTiも発売されています。

今回ご紹介するもののなかでは、唯一モータードライブを内蔵している経緯台です。スマホなどを用いて天体を自動導入できることが最大の強みで、パソコンを併用した電子観望にも用いられています。

 
重量は延長塔を含んで2,127g(実測)で、AOKA TKPRO425C三脚と合わせて4kg強となります。軽量の赤道儀と比べても半分以下の重量ですから、お手軽に高度な天体観測を行うことができるはずです。
こちらの経緯台も3/8インチネジでの装着ですから、AOKA TKPRO425C三脚との相性は抜群。これから天体観測を始めたいという人には、AOKA TKPRO425C三脚とともにお勧めしたい経緯台のひとつです。

 

まとめ・AOKA TKPRO425C三脚は天体観測に使えるのか

自動導入が可能なAZ-GTe経緯台とAOKA TKPRO425C三脚との組み合わせ。

今回試用したAOKA TKPRO425Cカーボン三脚は、5段伸縮10層カーボン素材、耐荷重28kgと、見た目以上に高スペックな三脚ですが、全長460mmと収納性も高く、身軽に天体観測で動き回りたいというユーザーには、大変使いやすいものだということを実感しました。

特に軽量高剛性のサイトロンジャパンAZ-ZERO経緯台や、Sky Watcher AZ-GTe自動導入経緯台との相性は抜群で、ビギナークラスからハイアマチュアまで、幅広い層での利用を可能にするはずです。さらに本体6年間無料保証というアフターサービス体制も万全で、日本国内ではまだ歴史の浅いAOKAのカメラ三脚ですが、安心して利用できる製品のひとつとしてお勧めできると感じました。

またAOKAのシステマティック三脚には上位機種のAOKA TKPRO524C三脚(耐荷重40kg)という製品もありますが、今回AOKA TKPRO425C三脚を取り上げた理由は上記の経緯台での相性を考えた結果で、ミニマムな構成でハンドリングできる魅力がAOKA TKPRO425C三脚にはあったからです。

 

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