三脚の上にカメラ以外のものを載せられるアタッチメントを3Dプリンターで自作してみた
一般的に写真用三脚は写真がぶれないようしっかり作られており、ある程度重い重量にも耐え、かつ持ち運びやすいよう軽量化が図られています。
「軽くて安定しており、角度の自由度も高い」という特性は、写真撮影はもちろん、それ以外のシーンでも活かせるかもしれません。
というわけで、AOKA KN225Cカーボン三脚の先端に取り付けることができるアウトドアや屋内で使えるオリジナルのアタッチメントを制作してみました。自分で何かを作ってみたい!という方の参考になれば幸いです。
シューとの固定具を3Dプリントする
カメラやビデオカメラの底面には、シューを取り付けるための「ネジ穴」が用意されていますよね。このネジ穴は細ネジと呼ばれる1/4-20UNCネジと、太ネジと呼ばれる3/8-16UNCネジのどちらかが使われています。AOKA KN225Cに付属のプレートは細ネジの方が使われていました。アタッチメントを自作する際、このシューとの固定がキモになります。
そのため、2つのパーツに分け、固定が重要となる部分は3Dプリンターで固定具として。機能を実現するアタッチメント部分は大きさも必要なのでレーザーカッターを使い制作することにしました。
固定具についてはちょうど良い金属パーツを見繕っても良いですが、今回は3Dプリンターで自作してみましょう。
Amazon で「ANYCUBIC Photon Mono 4K」という3Dプリンターを調達しました。光造形方式と呼ばれるタイプの3Dプリンターで、造形の精度が高いことが特徴です。
また、3Dプリントするためには、3Dのデータが必要です。今回はブラウザから無料で使える「Tinker CAD」というソフトウェアを利用しました。
TinkerCAD の「シェイプジェネレータ」という機能で、雲台のボルトを再現し……
サイズの調整も兼ねて、ネジ山を切った3Dデータを数パターン制作。
実際に3Dプリントしてみたところ、きっちりハマるサイズに調整できました。
※ 3Dプリンターやモデリングソフトの使い方に興味が湧いたら、ぜひ調べてみてください。奥深くて楽しいですよ!
最終的には、左上のようなモデルを作って3Dプリントしました。裏面にはシューに取り付けるためのネジ穴が、表面にはアタッチメントを取り付けるためのスリットが4箇所に空いています。
木工作業でアタッチメントを作る
シューに取り付けるための固定具ができたので、メインとなるアタッチメント部分を作っていきます。大きいサイズの印刷には手間がかかるので、ここは木工で進めていきます。
作業のためにやってきたのは、ホームセンターのカインズ。材料や工具を購入できるのはもちろん、一部の店舗では「CAINZ工房」という作業スペースを借りることができます。
ボール盤や糸ノコといった電動工具のほか、3Dプリンターやレーザー加工機といったデジタル機械が置かれていることも。
手作業で正確な形状を切り出す自信がなかったので、Adobe Illustrator などで作ったデータの通りに素材を切ってくれるレーザー加工機の力を借りました。6mmくらいの厚みの木の板なら、短時間でカットしてくれます。
こちらが加工後の様子。滑らかなカーブ形状も、綺麗にカットされていますね!
熱で焼き切るというレーザー加工機の特性上、断面が黒く焦げてしまうことには注意が必要です。今回は、このあと全体をやすりがけして、木工用ボンドでしっかりと接着しました。
自作アタッチメント① ドリンクホルダー
準備が整ったので、実際に自作アタッチメントを使ってみましょう!
シューと3Dプリント製の固定具をネジ留めしておき、木製のアタッチメントと位置を合わせたら、スリットに結束バンドを通します。
雲台に固定し、結束バンドをぐるっと通して留めると……
タンブラーや小皿が置ける、特製のドリンクホルダーが完成しました!
アウトドアでの利用も多い KN225C。テーブルの代わりに小さなアタッチメントを連れていけば、ちょっとした休憩に役立てられるでしょう。
自作アタッチメント② スタンドデスク / ディスプレイ台
もう一つのアタッチメントは、こんなもの。
ドリンクホルダーと同じように、シューと固定具はネジで、木の板とは結束バンドで裏側からしっかりと固定してあります。これをどのように使うかというと……
1,390mm まで高さを出せる KN225C のサイズを活かして、立ちながらパソコン作業ができるスタンドデスクとして使ってみたり。
角度をつけて、お気に入りの本やイラストを飾るディスプレイ台として使ってみたり。部屋の中で使える、ちょっと便利なアイテムが完成しました。
アイデアは無限大!アタッチメントの世界へようこそ
雲台への取り付けやすさを活かし、2種類のアタッチメントを作ってみました。
今回は3Dプリンターやレーザーカッターを使いましたが、必須アイテムではありません。アイデアさえあれば、手作業でもいろいろなものが作れるはず……!
いつもの三脚をカスタムして使うのは、なんとも言えない楽しみがあります。興味が湧いた方は、是非オリジナルのアタッチメントづくりにチャレンジしてみてください!
製作・執筆:淺野義弘(Twitterが開きます)